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原発は自国に向けた核

2023年1月5日の東京新聞に掲載されました、当会の背戸柳さんの投稿記事を紹介します。

 現在も上映されている映画「原発を止めた裁判長」は福井の大飯原発の運転差し止め判決、高浜原発の再稼働差し止め決定を出した樋口英明元福井地裁裁判長を中心に描いた映画だ。

樋口氏は各地で起きている大地震に対し、ほとんどの原発の耐震性が低いという事実を調べ、住宅メーカーの住宅の耐震性をも大きく下回る点を指摘。原発が大地震に耐えられず、再び原発事故が起きれば、国民の平穏な暮らしや豊かな国土が失われると訴える。

 上映初日の樋口氏、河合弘之弁護士、小原浩靖監督のトークショーで、樋口氏は河合弁護士の「原発は自国に向けられた核」との説を引用して「原発の最大の問題は安全保障だ」と明言した。現政権は安全保障環境の悪化を強調。防衛力強化のため、防衛費を倍増する発言を強めるが、原発の脅威には触れず、むしろ原発推進に前のめりだ。

 南海トラフ、首都圏直下、千島・日本海溝での巨大地震の予測もあるなか、再び原発事故が起きれば、さらに多くの住民が重大な被ばくにさらされ、故郷も財産も奪われ、長期にわたる国土汚染が続く。
 さらにロシアのウクライナの原発への攻撃で明らかになったように、ひとたび戦争に巻き込まれれば、原発はミサイル攻撃も受けかねない。日本海側の複数の原発を一斉にミサイル攻撃すれば、日本はほぼ壊滅するのではないか?
 河合氏や樋口氏の言葉を政府も原子力関係者もよく噛みしめるべきだ。