原子力規制委員会「原発60年超運転」正式決定見送り

石渡委員「安全側への改変とは言えない」と反対表明

原発の運転期間の延長について、原子力規制委員会の2月8日の会合で、運転開始30年を起点に10年を超えない期間ごとに劣化状況を審査。規制基準に適合していれば運転延長を認可するという、新たな規制制度案を正式決定する議論のなかで、委員から反対意見が出た。

この日は国民からの意見公募(パブリックコメント)の結果を受けて議論した。意見公募に寄せられた2016件の大半は制度見直しに反対する内容だったが、規制委事務局は内容を変更することなく、当初案を正式決定するかどうかを定例会に(はか)った。

5人の委員のうち、山中委員長ら4名は案に賛成したが、石渡委員は反対を表明した。

山中委員長は多数決で決定せず、再び議論することとした。

私は、この案に反対します。

石渡明委員がきっぱりと異を唱えた。

「今回の改変は科学的な新知見があって変えるものではない。運転期間を法律から落とすことになり、安全側への改変とは言えない。われわれが進んで法改正する必要はない」

筆者コメント:石渡委員の言っていることは、だれもがわかること。意見公募した人たちも、多くが同意見ではないだろうか。 これらの意見を顧みることなく、当初案で決定しようするほうが無理がある。原子力規制委員会は、「お手盛り」の案ではなく、各委員の専門性を生かして、国民の命が安全に守れる「規制制度」を提案すべきではないだろうか。

規制委員会の委員は以下の通り。

委員長 山中 伸介(やまなか しんすけ)
委員 田中 知(たなか さとる)
委員 杉山 智之(すぎやま ともゆき)
委員 伴 信彦(ばん のぶひこ)
委員 石渡 明(いしわたり あきら)

委員の経歴は、ここから

メディア掲載状況

・朝日新聞 2月9日 「安全側への改変ではない」 原発規制の新ルール案に規制委員が異論

・日本経済新聞 2月9日 60年超原発の改正案、規制委が了承見送り 1人反対

・東京新聞 2月9日 原発60年超運転案は「安全側への改変とはいえない」 異例の反対意見で規制委が正式決定を先送り

・望月衣塑子 on Twitter: “こんな案を許すべきではない 原発60年

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