7月13日 東京地裁(朝倉佳秀裁判長)は、東電株主38人が、東電旧経営陣5人に対する22兆円の賠償を求める株主代表訴訟に、勝俣恒久元会長ら4人の過失を認め、史上最高の計13兆3210億円を東電に支払うよう命じる判決を言い渡した。
2012年に提訴して10年の歳月をかけて争われた本訴訟のポイントは、国の機関が2002年に公表した地震予測「長期評価」について科学的信頼性を有する知見と認定。長期評価に基づいて、大規模な防波堤以外に、建屋の水密化等の対策等をこうじていれば、重大事故に至ることは避けられた可能性は十分にあった。
判決は、「原発事故が発生した場合、国民の生命、身体、財産上の甚大な被害を及ぼし、ひいては国そのものの崩壊につながりかねない」と指摘。原発事業者は「過酷事故を万が一にも防止すべき社会的、公益的義務がある」としています。
以下に、原発ゼロへのカウントダウンinかわさきの会員のコメントを紹介します。
今日は東電株主代表訴訟(旧経営陣に、原発事故に対策を怠り、会社に損害を与えたとして株主から22兆円の損害賠償を求めた訴訟)の判決が出される予定でしたが、名判決が出ました。
私も何回も傍聴して裁判官の熱心さを何度も見聞きし、今回の判決は期待できると思っていましたが、やはり期待を上回る判決でした。
記者会見に続く報告会では、共同代表の海渡弁護士、河合弁護士とも、10年にわたる苦労が実った喜びがスピーチにあふれていました。
また、原告団の代表的な存在、木村結さんと「たんぽぽ舎」の副代表、山崎さんの発言も貴重で感動的でした。
両弁護士とも触れたように、原発賠償訴訟についての最高裁判決が国の責任を認めないという杜撰な判決だっただけに、朝倉裁判長はじめ、3人の裁判官の徹底的に事実を追求し、東電の旧経営陣への鋭い追及の結果、出した判決の素晴らしさがよく伝わってきます。
(※ただし、最高裁判決では三浦守判事だけが、見事な反対意見書を出しています)
かつて、大飯原発や高浜原発の再稼働を止める判決を出した樋口英明さん以来の胸のすくような判決と思われます。
特に、今回、原発を扱う会社の経営者としての安全への真摯な姿勢欠如や責任感の欠如を厳しく糾弾した点が、一般的に冷静さを装う裁判官とは違う印象で、一人の人間としての正義感から生まれた判決とも思えます。
報告会では、海渡、河合両弁護士が、この判決で原発を扱うすべての電力会社の幹部が、もし再度事故を起こしたら、莫大な賠償責任が課せられると、再稼働に極めて慎重になるだろうと、希望的な思いを語っていました。
しかし、これまでも、様々な裁判で一審の地裁では、いい判決が出ても、上告審で高裁、最高裁へと進むと、1審判決が覆されることが度々でした。
特に国や自治体、大企業などが被告になった場合にそうしたケースが多い。最高裁判事の任命など人事権が内閣に握られていることが原因ではないでしょうか。
司法権の完全な独立を実現するには、末端の裁判官を含め、裁判官の人事が行政から完全に独立した公正な制度を確立する必要性を感じます。
UPLANの三輪さんのYouTube動画
東電株主代表訴訟・判決骨子
220713-TEPCO-Judgment-outlineメディア掲載状況
・東京新聞 2022年7月13日 東京電力の旧経営陣4人に13兆円賠償命令 株主代表訴訟で東京地裁判決 津波対策を放置「著しく不合理」
2022年7月13日 13兆円賠償命令に「100点満点」「後世に残る名判決」 東電株主代表訴訟 勝訴の原告ら喜びに沸く
・ニッポン放送NEWS ONLINE 2022年7月13日 辛坊治郎「この趣旨の判決には大きな意味」 原発事故の東電株主訴訟で旧経営陣に13兆円賠償命令
・福島民友新聞 2022年7月14日 東電旧経営陣に賠償命令 株主代表訴訟、原告団「全面的に勝った」
・時事通信 2022年7月14日 原告側「100点満点だ」 法廷に拍手と歓声―東電株主訴訟判決・東京地裁
・信濃毎日新聞 2022年7月14日 東京電力株主代表訴訟判決 巨額賠償、重いメッセージ 「事業者は意識変革を」
・しんぶん赤旗 2022年7月14日 東電旧経営陣に賠償命令 過失認定13兆円超 東京地裁「福島原発事故防げた」