「結論ありきの判決。国の原子力政策に呼応した政治的な判断をした」
東京電力福島第一原発事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電の勝俣恒久元会長(82)、武黒一郎元副社長(76)、武藤栄元副社長(72)ら旧経営陣の被告3人の控訴審で、東京高裁の細田啓介裁判長は「10メートルを超える津波が襲来する可能性は予測できず、原発の運転停止を講じるべき業務上の注意義務があったとは認められない」と無罪の判決を言い渡した。
もともとこの裁判は、東京地検による不起訴はおかしいとして、市民が参加する検察審議会が起訴すべき、と判断したことで3人は起訴された。
検察官役となった弁護士らは、福島第一原発事故後の原発政策を転換した政府への「忖度(そんたく)を指摘。ほぼ同じ証拠と、同じ争点、同じ被告なのに、東電・株主訴訟では有罪。今回は無罪。被災者からは「裁判所はこれでいいのいか」の怒りの声が上がった。
弁護士からは「結論ありきの判決。国の原子力政策に呼応した政治的な判断をした」とこの日の判決を厳しく批判した。
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